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No.20 (2005年12月発行)



プロジェクトの最新情報をお伝えします

タイの図書館プロジェクトが新しい段階へ
タイの図書館プロジェクトは、学校図書館づくりから、移動図書館や家庭図書館などのシステム運営、絵本創作にいたる読書推進活動、そしてインターネットの活用へと、発展させながら実施してきました。子どもたちや地域の人々の本への興味は大きく高まり、活動を行う農村部の読書環境が改善されただけでなく、その影響はタイ国内に大きく広がっています。活動は今後、地元が中心となり行っていきます。

<情報格差解消と読書環境改善をめざして>
タイの農村部では、本や新聞に触れられる場所が限られ、学校にも子どもが興味を持って読める本はほとんどなく、都市との情報格差が広がる一方でした。子どもたちや地域の人々が必要な情報を取得し、本から楽しみを得られるようにと、当団体では1998年から現地と協力して図書館プロジェクトを開始しました。

<興味を持って読める本と快適な場所を>
活動は、地域の情報拠点として学校図書館をつくることから始まりました。意欲があり、地域の協力が得られる学校を拠点校として、ピサヌローク県、ナン県、ナコンサワン県の11の小学校(※)に図書館をつくりました。これらの図書館には、子どもたちや地域の人々が関心を持てる本を毎年支援し、これまでに合計で1万冊を超える本を届けています。

最初につくられたバンハチャイ校の図書館は、1999年にピサヌローク県の小規模校図書館部門で第一位に表彰されるなど、タイの教育現場で大きな関心を持って受け入れられました。図書館が学校生活の中に根づいた今では、多くの子どもたちが昼休みなどに自由にやってきては一心に読む姿が見られ、授業でも図書館での調べ学習を取り入れるなど、積極的に活用されています。多彩な本と、集中して読める学習場所が得られたことが基礎となって、子どもたちが読書好きになったり、地域の人々が読書の大切さを理解するといった変化につながったと多くの教師が強調しています。本を読む場所も興味を持てる本も身近になかった農村部において、図書館の存在は、情報や知識を得ることへの関心を高める大きな役割を果たしました。
(※学校によっては幼稚園と中学校も併設されています)

<より多彩な本を、より多くの人々に>
本に親しめる環境を、もっと効率的に、より多くの人々が利用できるようにと2001年から始めたのが移動図書館です。図書館をつくった学校を拠点に、近隣の学校でグループをつくり、図書ボックスに入れた本を定期的に巡回します。ピサヌローク県とナン県の3地域15校を対象に、これまで合計で6000冊を超える本を届けました。複数の学校で本を共有することにより、少ないリソースでより多くの子どもたちに多様な本を読む機会を提供することができました。

また、地域の人々も身近に本に触れられるよう、村の食堂や集会所に本を設置して貸出を行う家庭図書館や、図書ボックスの村内への巡回も行いました。
 移動図書館は、グループ校同士の調整や本の管理が学校図書館よりも複雑になる実験的な取り組みでしたが、今後も地元が協力して運営を続けていきます。中には、自力で資金を集めて図書館を建てた学校もあり、現地の意欲的な取り組みを促すことにつながりました。多様な本に触れることの重要性が広く理解され、支援終了後もできる範囲で続けていきたいという声が教師たちから聞かれています。

<本の活用から創作活動へ>
本の支援と並行して、子どもたちがより効果的に本を利用できるよう、読書推進活動を実施しました。それまで読書経験が少なかった子どもたちが本の内容を的確に読み取れるよう、本のあらすじや感想をつづる「読書日記」から始めて、テーマを決めて調べた内容を校内放送で発表する「ボイス・イン・ライン」で、本を情報源として活用し、人に伝える訓練を行いました。これらの活動は、授業や朝礼に組み込まれて日常的に行われています。読書を作文や発表と組みあわせることで、読書習慣づくりに加え、読み書きやコミュニケーション力が高まりました。

こうして本を読む経験を積んできた子どもたちは、ストーリーと絵を創作して自分たちで絵本をつくり上げる応用的な活動にも挑戦しました。最初は本に関心を持つことも少なかった子どもたちが、今では本の書き手となるまでになりました。

<図書館活動のモデルとして>
地域の発展のために情報が重要との理解が広まった現地では、情報化社会の中で遅れないようコンピュータを導入したいという願いも強く聞かれるようになり、今年はインターネットを用いた活動にも展開しました。さらに、教育省がこの図書館活動を全国2000校のモデルに採用し、県外からも見学があるなど、活動地域を超えて成果が広がっています。

私たちの支援は今年度で区切りを迎え、今後は必要な本の支援が中心になります。図書館活動は現地を中心とした新しい段階に入りますが、これまでの蓄積を活かして、地元の力で伸ばしていくことを期待したいと思います。


図書館に集まるグルジアの子どもたち
グルジアの図書館プロジェクトで実施する読書推進活動「本を訪問しよう!」は、今年5月からこれまでに約500人の子どもたちが20回のイベントに参加し、ゲストスピーカーの講演やアクティビティを通して読書への興味を高めています。3月まで続くこの活動で、引き続き子どもたちは新たな本の世界に触れていきます。

<タイの経験を活かしたプロジェクト>
タイでの経験を活かし、2004年からグルジアの子どもたちの読書環境改善プロジェクトを開始しました。
新しい国づくりを進めるグルジアですが、経済的には依然厳しい状況にあります。国の援助が削減され、長い間老朽化したまま放置されていたラド・アサティアニ児童図書館は、設備は古く、子どもたちが興味を持って読める本も少ないため、子どもたちの読書への興味は薄れ、図書館の利用者も減少していました。

プロジェクトでは、まず、2つの図書室の改修と約2500冊の図書支援を行い、子どもたちが読書を楽しむことのできる環境づくりを実施しました。改修後の図書室は、新しいグルジア語の本が並び、子どもたちが明るい光の中で読書を楽しめる環境となりました。

<子どもたちの興味を取り戻すために>
図書館を整備し、新しい図書を設置しただけでは、子どもたちの読書への興味を高めるには十分ではないというタイの活動を通しての経験から、プロジェクトの次の段階は、「読書推進活動」を実施することにしました。どのような活動が子どもたちに相応しいのか現地と話し合った結果、これまでに図書館を利用する機会がなかった子どもたちを、図書館に集めて、図書館の利用方法や新しい本を紹介し、ゲストスピーカーによる講演やアクティビティを行うイベントに決定しました。

<図書館利用者の増加>
イベント「本を訪問しよう!」は、5月から始まり、これまでに20回実施し約500人の子どもたちが参加しました。対象の子どもたちの年齢にあった講演やアクティビティが行われ、参加学校では事前にイベントのテーマを学習するなど、学校とも連携を図った形で進められています。参加者の中には、図書館を利用したことがない子どもも多く、イベントを機に図書館を利用し始めたケースも多く見られます。

イベントには学校単位で参加しますが、最近は参加校以外の子どもがイベント開催を知り、希望して参加するという、うれしい現象が起きています。また、改修前の2004年1月から8月までの利用者は4800人でしたが、改修後の2005年同時期の利用者は7200人と1.5倍に増加しました。イベントも含め、ポスターの掲示やラジオ広告などの広報活動の成果が出てきています。

<2006年のイベント>
7月には、ヒーターや椅子が盗まれるというとても残念な盗難事件が発生しましたが、皆様からのご寄付で、4回のイベントを実施できることになり、活動は2006年3月まで継続します。現地では、司書たちがプロジェクト終了後も自力でイベントの継続ができるよう、努力を続けています。

※イベントの様子は、3月にウェブサイトにてご報告いたします。



事務局からのお知らせや最近の動きなどをお伝えします

タイの子どもたちが心待ちにする新しい本を届けるためにご支援ください
タイで図書館活動を実施する地域では、子どもたちが触れられる本を引き続き増やしていきたいとの強い要望がありますが、地元の努力だけで十分な本を購入するのはいまだ困難な状況です。現地の意欲を継続していくためにも、対象の20校に合計1000冊程度の本の支援を行いたいと考えています。どうか皆さまのご寄付をお願いいたします。子どもたちの創作絵本のご購入によってもご支援いただけます。
ヌ http://www.nomad-int.org/picbook.html

グルジア図書館盗難被害 回復のためのご協力ありがとうございました
9月よりご協力を呼びかけてきましたグルジア児童図書館の盗難被害回復には、合計で34,906円のご寄付をいただきました。目標とした6回分のイベント実施に必要な額には至りませんでしたが、現地と相談し、いただいたご寄付で3月に4回のイベントを実施することになりました。ご支援くださった皆さま、ありがとうございました。

ニュースレターを休刊します

先月号でお知らせしましたように、当ニュースレターは今号をもって休刊させていただきます。これまでお読みくださり、ありがとうございました。タイやグルジアで実施してきた活動への当団体の支援は、今年度をもって1つの区切りを迎えますが、図書などの基本的な支援やフォローアップ、今後のための話し合いを続けていく予定です。皆さまのご協力を引き続きお願い申し上げます。


◆ ご寄付お振込先◆
郵便振替口座  口座番号:00100-2-14174  
口座名:ノマドインターナショナル
※※ 通信欄に、寄付目的を「タイ図書支援」または「グルジアイベント支援」とご記入ください


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編集後記

・皆さまからいただいた声やご感想にはとても励まされました。活動を応援してくださる皆さまに心より感謝申し上げます。(武津)
・今年も皆様の温かいご支援をいただき、ありがとうございました。どうぞ、良いお年をお迎えください。(伊藤)

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