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No.10 (2005年2月発行)




子どもたちの中に根づいてきた読書 〜タイ滞在調査報告(2.ピサヌローク編)〜

タイでのこれまでの活動の成果を検証するために11月に実施した地域滞在調査から、今回はピサヌローク県の様子をお伝えします。ピサヌロークでは、2つの活動校区で家庭に滞在させてもらい調査を行いました。読書が学校生活の一部として子どもたちの中に自然に受け入れられ、読む力を伸ばすことに貢献していることがわかりました。

<読書は学校生活の一部>

ピサヌロークでまず調査を行なったバンハチャイ小学校は、私たちが最初に図書館づくりを支援した学校です。以来、学校をあげて読書活動に取り組み、様々な方法で本を利用する工夫が見られました。

まずは朝の15分読書。廊下でクラスごとに輪になって座り、灯をともしたロウソクを合掌しながら一人ずつ受け渡す儀式のあと、仏教に関する音楽が流れるなか全員で瞑想し、それから15分間好きな本を読みます。この学校の子どもたちの毎日はこうして本とともに始まります。

それが終わると、低学年の教室で高学年の生徒が絵本の読み聞かせを行ないます。高学年の子にとっては、本の内容を理解して感情を込めて読む練習になり、低学年の子どもたちは自分ではまだ読めない本の世界を知ることができます。

昼食の後には、全校生徒が講堂に集まってニュースレター第5号でお伝えしたVoice in Lineという読書推進活動を行ない、本から集めた情報の効果的な伝え方を学びます。今の在学生にとって、これらの活動は入学した時から学校生活の一部であり、ごく自然に受け止められているようでした。

朝の15分読書の様子。学年ごとに輪にな り、瞑想のあと各々好きな本を読む 高学年が低学年の子どもたちに本の読み聞かせをする Voice in Line活動で発表する6年生。読んだ本の内容を全校生徒の前で放送設備を利用して伝える


1年生の授業で絵本を利用した読み聞かせ。先生の声に合わせて文字を追いながら子どもたちが元気に発音する
<読書が子どもたちに及ぼした影響>
この学校では子どもたちの読む力が他の学校に比して高いように感じました。熱心な読書活動の成果と言えるでしょう。読み書きを覚え始めたばかりの1年生も、先生の読み聞かせに合わせて文字を追いながらスラスラと発音できていましたし、子どもたちが手に取る本も、今回調査した他の2校と比べて、文字が多く厚い本が多いのが特徴的でした。

また、これまでに一番印象に残った本を聞くと、タイトルを挙げて答えてくれる子が多く、子どもたちの本の内容への理解や興味が深いことが感じ取れました。支援開始前の調査では、「どのような本が好きですか」という質問に、本に様々な種類があるということを知らず答えが返ってこないといった場面もあったことを考えると、ずいぶん大きな変化と言えます。


<学校ごとに異なる活動の広がり>
一方で、ピサヌロークのもう一つの調査校ワットバンライ小学校では、バンハチャイ校ほど読書活動が盛んではなく、子どもたちへの影響も小さく留まっているようでした。例えば、授業の課題を終えた2年生が、教室の後ろにある本箱から自発的に本を取り出して読もうとするのですが、自分では読めず先生に読んでもらおうとする子が多くいました。本への興味や関心はあるものの、読む力は先の学校と比較すると十分ではないように見受けられました。

こうした違いが生まれる要素として考えられるのは、バンハチャイ校がこのプロジェクトの最初の拠点であり、学校をあげて読書活動に力を入れているのに対して、ワットバンライ校は2年ほど後発であり、また近年の学校評価で改善が指摘された音楽などの教科に力を入れざるを得ず、他の先生からの十分な協力が得られないことなどが考えられます。

地元のニーズは一様ではありませんし、当団体としては、必ずしもすべての学校が同じことをして同じ成果を達成するべきとは考えていませんが、こうした違いが生まれる背景や要素などを分析し、今後の活動に活かしていきたいと考えています。


*この調査は、(財)国際開発高等教育機構より当団体スタッフの武津が助成を受け、実施したものです。



子どもへのインタビューから
インタビューに答えてくれた1年生のナーム。お気に入りの絵本とともに
バンハチャイ校区の家庭図書館で本を読んでいた小学校1年生の女の子ナームに話を聞きました

Q. どの本が一番好きですか。

A.[本棚からすぐに取り出して]この『まだらもようのお母さんにわとりとなまけもののたまご』です。

Q. 自分で読めますか。

A. 最初はお姉ちゃん[小5]が読んでくれました。でも3回読んだので、今は自分で読めます。

Q. どんなお話ですか。

A. 卵からヒナが出てこなくて、犬のお医者さんがにおいをかぐと、ヒナがなまけ者なのがわかって、お父さん鶏が「コケコッコー」と呼びかけると出てきます。

Q. どうしてこのお話が好きなんですか。

A. 楽しいからです。特にお母さん鶏が好きです。


お母さんも「この子は本が大好きで、テレビの合間にも本を手放さず、CMになると読み出すんですよ」と話してくれました。本に親しめる環境づくりがこうして子どもに影響を及ぼしています。



活動地域の教育事情や社会情勢などをお伝えします

ロシアにおける日本語教育
(ロシアの日本語教育の第一人者であり、当団体の日本語教材支援プロジェクトで協力関係にあるモスクワ国立総合大学のリュドミラ・ネチャエワ先生が現在来日されています。ロシアの日本語教育事情についてレポートしていただきました)

ロシアでは日本語を学ぶ歴史は長く、300年以上になります。革命前には、日本語を教えるのはサンクト・ペテルブルグ大学だけでした。ソ連時代には、サンクト・ペテルブルグだけでなく、モスクワ、ヴラジヴォストックでも教えるようになりました。

ペレストロイカが来ると、旧ソ連のいろいろな所に日本語を教える大学、学校、コースなども現れました。モスクワだけで、10以上の大学、10の学校、3つの日本語センターで日本語を習うことができます。面白いのは日本語を教えている都市の地理です。北はムルマンスク市、南はロストフ市、西はサンクト・ペテルブルグ、東はカムチャットカまで広がります。

始めは、一番重要な問題は教科書でした。日本の国際交流基金、ノマドの協力のおかげで、ロシアの大学や学校は教科書、本、テープなどを受け取って、学生たちや生徒たちは喜んで勉強しています。

毎年、モスクワで学生、生徒のスピーチ・コンテストが行われています。第一位を占めた学生は日本を周る2週間の旅行をしますが、生徒の中には日本での国際スピーチ・コンテストに参加して、何回も第一・二位になったことがあります。
現在、ロシアでは日本に対する興味はとても高いです。子供や若者だけでなく大人も日本語を勉強して、生け花、茶道、折り紙などの授業に通っています。
     


事務局からのお知らせや最近の動きなどをお伝えします

活動報告会開催のご案内
子どもたちに本を 〜図書館プロジェクトと読書推進活動:タイでの経験とグルジアでの試み〜


6年にわたるタイでの継続的な図書館支援の経験が、どのような成果を生み、グルジアでの新しい試みにどうつながっているのか。ひとつの国に留まらないノマドの支援活動を、昨年11月のタイでの滞在調査と、2月初めに予定しているグルジア訪問調査をもとに報告します。ニュースレターの紙面だけではお伝えしきれない情報を、現場を見てきたスタッフが最新の映像を交えながら直接お伝えします。

報告のあとには、ご参加いただいた皆様同士やスタッフとの情報交換や交流をお楽しみいただける交流会を設けます。タイやグルジアに関する書籍や雑貨等のご紹介、タイの子どもたちの創作絵本の販売も行います。多くの方のご参加をお待ちしています。

日時:2005年2月23日(水) 19:00〜21:00
場所:早稲田奉仕園 奉仕園会館1号館 地下1階50人ホール(東京メトロ東西線早稲田駅 徒歩5分)
参加費:無料 
※お名前・ご住所・連絡先を明記の上、メール、FAX又はお電話で事前にお申し込みください。

グルジア訪問を行ないました

2月5日〜13日にかけて、事務局スタッフがグルジアを訪問し、子どもや学生たちとの交流と、図書館プロジェクトの成果や課題を把握するための調査を行ないました。地元の人々の教育への熱意が感じられ、プロジェクトや交流活動が重要な意味を持っていることがわかりました。次号で詳しくお伝えします。お楽しみに!

タイの子どもたちへ1000冊の本を送ろう

今年度のタイ図書館プロジェクトでは、拠点校11校に約1000冊の本を送り、読書推進活動を行う計画ですが、資金が不足し計画通りの実施が困難になっています。たくさんの子どもたちが、新しい本を心待ちにしています。芽生えはじめた子どもたちの読書への興味を途絶えさせないために、ご協力をお願いいたします。

寄付は一口1,000円から受け付けております(約4冊の本を買うことができます)。

<お振込先> (次の2種類のいずれかへお願いします)
郵便振替口座 口座番号:00100-2-14174
口座名:ノマドインターナショナル
みずほ銀行 渋谷支店 普通3507509
口座名:特定非営利活動法人ノマドインターナショナル
※お名前、ご住所、図書館プロジェクトへの寄付である旨を明記してください。みずほ銀行にお振込みの場合は、E-mailかFAX、郵便にてお知らせください。

会員募集中!
私たちの活動は市民の皆さまからのご支援で成り立っています。ぜひあなたも会員になって、活動を支えてください。個人正会員は年会費6,000円(入会金2,000円)、賛助会員は年会費2,000円(入会金1,000円)です。

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編集後記

・グルジアでは教育や読書事情のタイとの違いもわかり、非常に興味深かったです。古い文化がとても大切にされていると感じました。(武津)
・グルジアでは、子ども達が本を夢中になって読む姿が印象的でした。彼らの笑顔に出会え、担当者として本当に嬉く思いました。(田島)
・子どもたちの元気な笑顔をおみやげに、グルジア出張から戻りました。報告会で皆様にお会いできることを楽しみにしています。(伊藤)

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