image
image image image
image
image image
image
image
image
image
image
image
image
image
image
image
image
image


image image

No.9 (2005年1月発行)




住民の多くは農業に従事し、田んぼやト ウモロコシ畑が広がる
変化してきた地域の読書環境 〜タイ滞在調査報告(1.ナン編)〜

タイでの図書館活動は1998年の開始より6年あまりが経ちました。学校図書館の建設から始まったプロジェクトは、より効率的に読書環境改善の効果を拡げる方法を模索して、移動図書館や家庭図書館、読書推進活動などに発展してきました。こうした活動がどのような成果を生んできたのか、現地の社会・文化的な背景も踏まえて検証し、これからの活動の方針を考えるために、日本の事務局スタッフが11月に約1ヶ月間、ナン県とピサヌローク県の活動校区の家庭に滞在しながら調査を行いました。その報告を2回に分けてお届けします。今回はナン県の様子を中心にお伝えします。活動の影響が地域全体に広がり、地域の自助努力もあって読書環境が充実してきていることがわかりました。

<快適な居場所としての図書館>

ナンで調査を行ったバンヴァンギャオ小学校では、昼休みの図書館に食事を終えた子どもたちが次々と集まってきて、毎日50人以上が座り込んで熱心に本を読む姿が見られました。子ども向けの本が多くあり、親しみやすい飾りつけがされた図書館は、子どもたちにとって快適な居場所になっていることがわかります。併設する幼稚園からも、まだ字が読めない子たちがやってきて、次々と棚から本を持ってきては、同行した協力団体の女性スタッフに読んでくれるようせがんでいました。小さなときからカラフルな絵本に囲まれているこの子たちにとって「本は楽しいもの」です。これは、本といえば教科書と辞書だった支援開始前と比べると、大きな変化と言えるでしょう。

図書館の利用者は、在校生だけではありません。「先生は図書館に住んでる」と生徒に言われるほど熱心な担当教師は、時間があれば週末にも図書館を開放していて、卒業生が本を読みにやって来ることもあります。地元の高校(中学と高校の課程が併設)の先生の話では、この小学校の卒業生は他校出身者に比べてよく本を読む傾向があるとのことでした。小学校時代の読書体験が卒業後にも引き継がれているようです。

図書館にきれいに並べられた新規購入図 書。新しい本は子どもたちに人気がある 昼休みの図書館。大勢の子どもたちが座 り込んで熱心に本を読む 協力団体スタッフに本を読んでもらう幼 稚園児たち

<地域に波及する図書館活動の影響>
隣村の小学校の図書室。案内してくれた 先生は、バンヴァンギャオ小のきれいな図書館のことはよく知っていると話し てくれた
この図書館は、他の学校の教師の間でも「きれいな図書館」として知られ、よく利用されています。近年の教育改革で全国均一の指導要領に代わる授業プランを自分で立てる必要が出てきた教師たちにとって、図書館はリソースセンターとしての役割を果たしています。見学に来た教師が刺激を受けて、自校の図書室を充実させようとするなど、影響が地域(郡)全体に広がっています。

この郡では、高校が行政に対してプロポーザルを書いて新しい図書館の建設に取りかかったり、郡立図書館が図書予算を確保して蔵書を大幅に増やすなど、地域全体で読書環境をよくしようとの動きが見られます。また、近年交通が便利になったこともあって新聞が手に入りやすくなり、食堂や集会所では熱心に新聞を読む人々の姿が見られ、3年前には貸本屋もできて中高校生が利用するなど変化が起きています。

こうした地域全体の読書環境の底上げは、ここ数年で97年の通貨危機の影響を脱して急速に経済が上向き交通が便利になったことや、社会全体で教育への期待が高まっていることに加え、図書館活動が1つの刺激になったと考えられます。これが有効だったのは、ひとつにはナンが「閉じたコミュニティー」であったことが挙げられるでしょう。

ナンは、人のつきあいが非常に親密で、近所の家で集まって食事をしたり、地域の副業である竹編みをしながら情報交換することが日常風景です。教師は村内に住み、村人が持ち込む様々な問題に相談に乗るなど尊敬され、子どもたちはみな小学校を卒業すると郡に唯一ある高校に通います。このように郡内での人の交流が盛んで情報が行き渡りやすい一方、郡境に立ちはだかる山が人の動きを制限しています。この閉鎖性ゆえに、図書館活動が与えた刺激は地域内に波及しやすかったと考えられます。これは、次号でお伝えするピサヌロークとは対照的で、活動の波及効果を考える上で興味深い要素です。


郡立図書館。昨年、予算を確保して蔵書 を大幅に増やした 村の集会所には新聞が置いてある


教師へのインタビューから
インタビューに答えてくれた担当の先生
司書担当の先生にインタビューしました

Q. 図書館ができて最も大きな変化はなんでしたか。

A. 子どもたちの学習習慣と、学ぶことへの興味が増したことです。それが将来の希望に影響しています。

Q. 図書館活動を始めたときには予期していなかった効果はありましたか。

A. 最初は、図書館の影響はこの学校だけに留まるものと思っていましたが、郡内外に広がっていることに驚いています。他の学校の先生がこの図書館の様子に感心して自分の学校をよくしようと努力しています。

(ナン県バンヴァンギャオ小学校 ブーンプロム先生)

学校の裏手に住む先生は、大変仕事熱心で、生徒や保護者にもよく慕われています。



活動地域の教育事情や社会情勢などをお伝えします

津波、総選挙、これからのタイ
(年末のスマトラ沖地震・津波はこれまでにない規模の災害となりました。日本でも関心が高まっていますが、被災国の一つタイではどのように受け止められているのでしょうか。日本ではなかなか報道されない事情を、バンコク在住の現地協力スタッフがレポートします)

未曾有の津波はタイにとっても衝撃だった。しかし、年明けにタクシン首相は、先進国が被災国の債務凍結を検討していることに対して「タイは必要ない」 と申し入れた。「外国の援助はもっと被害の深刻だった地域に与えられるべき。タイは自力で回復できる」と述べたほか、完全復興まで「1年で充分」とも明言している。

1月5日の下院任期満了を受けて、2月6日には総選挙が行われる。タクシン首相続投が有力だ。津波被害への対応で、さらに評価を上げている。

タクシン政権は過去4年間、地域開発に取り組んできた。主要政策として「一村一品(One Tambon One Product、Tambonは行政区の意味)政策」を展開し、地域特産品の商品化・販売を支援した。今ではスーパーやデパートにはどこでも、一村一品の特設コーナーがある。また、農民への融資のため全国78000のビレッジ・ファンドを設立している。こうした政策の一部はバラまき型と非難されたものの、総合的に見れば効果を上げている。政府が宣伝するほど全国民に利益が行き渡っているわけではないとしても、一応の成功を収めたとは言えるだろう。

文頭の発言など津波後の対応では、経済的自立と地域のリーダーを目論むタクシン首相の思惑が見え隠れする。しかし過去4年間を見れば、それが単なる虚勢ではないとわかる。災害復興、総選挙。タイは今また、ひとつの岐路に立っているようだ。
     
(現地協力スタッフ:八木)



事務局からのお知らせや最近の動きなどをお伝えします

活動報告会開催のご案内
子どもたちに本を 〜図書館プロジェクトと読書推進活動:タイでの経験とグルジアでの試み〜


6年にわたるタイでの継続的な図書館支援の経験が、どのような成果を生み、グルジアでの新しい試みにどうつながっているのか。ひとつの国に留まらないノマドの支援活動を、昨年11月のタイでの滞在調査と、2月初めに予定しているグルジア訪問調査をもとに報告します。ニュースレターの紙面だけではお伝えしきれない情報を、現場を見てきたスタッフが最新の映像を交えながら直接お伝えします。

報告のあとには、ご参加いただいた皆様同士やスタッフとの情報交換や交流をお楽しみいただける交流会を設けます。タイやグルジアに関する書籍や雑貨等のご紹介、タイの子どもたちの創作絵本の販売も行います。多くの方のご参加をお待ちしています。

日時:2005年2月23日(水) 19:00〜21:00
場所:早稲田奉仕園 奉仕園会館1号館 地下1階50人ホール(東京メトロ東西線早稲田駅 徒歩5分)
参加費:無料 
※お名前・ご住所・連絡先を明記の上、メール、FAX又はお電話で事前にお申し込みください。

2004年度前期活動報告書を発行

当団体の半年間の活動をまとめた報告書を発行しました。今年度開始したグルジアでの児童図書館プロジェクトをはじめ、タイでの活動や事務局での新たな取り組みをご紹介しています。ご希望の方はご連絡ください。

タイの子どもたちへ1000冊の本を送ろう

今年度のタイ図書館プロジェクトでは、拠点校11校に約1000冊の本を送り、読書推進活動を行う計画ですが、資金が不足し計画通りの実施が困難になっています。たくさんの子どもたちが、新しい本を心待ちにしています。芽生えはじめた子どもたちの読書への興味を途絶えさせないために、ご協力をお願いいたします。

寄付は一口1,000円から受け付けております(約4冊の本を買うことができます)。

<お振込先> (次の2種類のいずれかへお願いします)
郵便振替口座 口座番号:00100-2-14174
口座名:ノマドインターナショナル
みずほ銀行 渋谷支店 普通3507509
口座名:特定非営利活動法人ノマドインターナショナル
※お名前、ご住所、図書館プロジェクトへの寄付である旨を明記してください。みずほ銀行にお振込みの場合は、E-mailかFAX、郵便にてお知らせください。

会員募集中!
私たちの活動は市民の皆さまからのご支援で成り立っています。ぜひあなたも会員になって、活動を支えてください。個人正会員は年会費6,000円(入会金2,000円)、賛助会員は年会費2,000円(入会金1,000円)です。

image

編集後記

・大津波の被害は想像を絶するものでした。被災された方が一刻も早く悲しみから立ち上がり、普通の生活に戻れることを祈ります。(武津)
・今年は、昨年行った新たな試みや多くの方々との出会いを活かし、更にノマドの活動の幅を広げていきます。期待していて下さい。(田島)
・このところ大きな自然災害が頻発しています。地球温暖化などが影響しているのでしょうか。今年は災害に人々が苦しめられないよう祈るばかりです。(伊藤)

image

image image
image
image
image
image