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No.8 (2004年12月発行)




僕たちの本ができた! 〜絵本づくり合宿レポート〜

タイでは、図書館活動の一環として、子どもたちが自分の手で物語と絵を創作してオリジナルの本を創り上げる「絵本プロジェクト」を実施しています。11月29日〜12月1日の3日間、ピサヌロークの5校から子どもたち36人が参加して合宿を行い、5冊の絵本を新たに創作しました。この合宿には日本からもスタッフが参加し、その成果 を確認してきました。合宿の様子や子どもたちの声をレポートします。

プロジェクトの様子を写真でご覧いただけます。こちら>>>

<初めての海、新しい友だち>
今回の合宿に参加したのは、ピサヌローク県の小学校に通 う10〜12歳の子どもたち。会場となった南部の海辺の町ホアヒンまで、バスで8時間かけてやってきました。日本の修学旅行のように学校単位 で遠くへ旅行したり、家族で遠出をすることがめったにない農村部の子どもたちにとっては、違う世界を知る貴重な機会です。

参加した子どもたちのうち、ほとんどは海を見るのが初めて。服のまま飛び込んで、海水の塩辛さに顔をしかめたり、波にさらわれていく足下の砂に驚いたり。初めての海での体験は強い記憶となって残ったようです。
また、初めて会う別の学校の子たちと共同作業をするというのも、子どもたちにとっては困難ながら印象深い経験でした。最初はおとなしかった子どもたちも、ゲームや歌などのアクティビティを通 して次第に新しい友だちをつくり、自分を表現できるようになりました。

バスで8時間かけてみんな で
やって来ました
初めての海にはしゃぐ
子 どもたち

<創造力を働かせてお話づくり>
合宿の初日の晩、早速お話づくりに取りかかりました。会場に用意された本をそれぞれ自由に手に取って読み、その中で印象に残った情景や出来事、言葉などを書き留めます。それを6〜8人のグループごとに発表し、その中からキーワードになりそうな言葉(例えば登場人物の性格や気持ちを表す言葉など)を選び取って、それをもとに創造力を働かせながら自分たちでストーリーをつくっていきます。この作業は1グループ30分ほど。子どもたちの積極的な話し合いを通して、あっという間に次々と新しいお話ができました。

<様々な方法で絵をつくります>
お話ができたら、今度はそのお話を表現する絵をつくります。今回の合宿では、下絵を描いてコンピュータに取り込み、画像ソフトを使って色をつけるという前回までのやり方に加えて、新しく2つの方法を試しました。粘土を使って登場人物を作る方法と、風船に小麦粉を入れて登場人物を作る方法です。どちらも、色画用紙などで作った背景の前に人形を並べて写真をとり、それをコンピュータに取り込み、編集して本にします。この方法であれば、絵が必ずしも得意でない子も一緒に楽しめます。みんな小麦粉で真っ白になりながら、できた人形を誇らしげに見せてくれました。

こうしてできた絵本は、合宿の最終日にグループごとに発表しました。自分たちの手で創り上げたお話に聞き入る子どもたちのうれしそうな表情がとても印象的でした。一つのことをやり遂げて、どの子も少し自信を持ったように見えました。

ここでできあがった本は、図書館プロジェクトに参加する全20校に配られます。仲間の創った絵本を見ることは、他の子どもたちにとっても大きな刺激になるでしょう。

今回の合宿には、グルジアの現地協力スタッフであり、映像の専門家でもあるルスダン・ピルヴェリも参加し、絵本創りの様子を記録に収めました。グルジアでの図書館活動にも大きなヒントを得たようです。日本でも、記録した映像をもとに、絵本創りの活動を紹介し、国を超えた子どもたちの交流を広げていきたいと計画しています。

*「絵本プロジェクト」は、日本国際協力財団の助成を得て実施しています

*今回できた絵本は、日本語訳をつけて、ご関心をお持ちの方に1冊500円でお分けする予定です。準備ができましたらご案内します。楽しみにお待ちください。

私がつくった作品です 思い出に貝殻を持って帰 ります できあがった作品を持っ て
誇らしげな小さな作者たち


子どもたちの声
合宿に参加した子どもたちの感想をご紹介します

・ 「楽しくて、ためになる合宿でした。新しい友だちがたくさんできました。最初に本ができたときは、とても誇らしく感じました」(10才・男)

・ 「海を見たのは初めてで、うれしくて興奮しました。お母さんのために、貝殻と海の水を持って帰ります」(12才・女)

・ 「海が見られるなんて夢にも思いませんでした。とてもうれしくて、泣きそうになりました。新しい友だちと泳げて楽しかったです。作った風船のお人形は先生のために持って帰ります」(12才・女)

・ 「合宿に参加できるとわかった日は、うれしくて眠れませんでした。ビーチも海も波も大好きです。ボートに乗って遊ぶ夢を見ました」(12才・男)

・「うれしいです。友だちと泳ぐのが楽しかったです。10人で同じ部屋に寝ました。寝る前におもしろい話をする時間がいちばん好きです」(12才・男)

・「合宿に来れてうれしいです。1週間も前から準備をして、毎日あと何日と数えて楽しみにしていました。初めて海を見て、興奮しました。一生忘れないと思います」(11才・男)

お話づくりや工作、コンピュータでの編集作業など、普段はなかなか体験できない取り組みです。自分たちの作品が本という形になってできあがったことは、忘れられない思い出になるでしょう。



活動地域の教育事情や社会情勢などをお伝えします

トビリシの古本屋
(グルジア語の専門家であり、トビリシ大学に留学されたこともある児島康宏さんに、グルジアの図書事情についてエッセイをいただきました。ご自身のホームページでも積極的に情報発信されています。http://www006.upp.so-net.ne.jp/koj/

去年、トビリシの目抜き通りにこぎれいな本屋ができた。新刊本だけを扱う書店ができたのは、ちょっとしたニュースだった。ソ連時代にはもちろん新刊書店もあったのだが、独立後の経済の崩壊で、一時は本の出版自体が途絶え、本屋も古本を売らないとやっていけなくなっていた。そんなわけで、私がトビリシに留学をしていた2001年ごろには、わずかながら新刊本も売る古本屋がトビリシの中心部に5軒ほどあって、暇を見ては順に冷やかして回るのが、実益も兼ねた趣味のようなものだった。

しばらく行かないと、新しい古本(変な表現だけれど)がすぐにたまる。というのも、暮らしに困って蔵書を切り売りする人たちがたくさんいるのだ。日本人の私にとっては、本の値段はとても安いので、そんなふうに売られてきた本をついついごっそりとまとめ買いすることになるのだが、少々気がとがめないこともない。

旧ソ連時代のグルジアでは本が盛んに出版されていた。私が買うのはもっぱら偏った分野の本ばかりなのだが、それでも、いくら買ってもきりがない。グルジア人は本をとても愛する人たちなのだ。グルジア人の家を訪ねると、整然と並べられたたくさんの本が壁を埋めているのにしばしば驚かされる。外国の文学の翻訳が盛んなのもその顕われだろう。少なからぬグルジア人にとって、日本といえばアクタガワやコーボー・アベである。ロシア語を介してグルジア語にも翻訳されていたからだ。

さて、私に買い受けられた本たちの一部は、グルジアの普通の住まいと較べたら猫の額のような東京のアパートに置いてある。目下の一番の悩みはそのたくさんの本の置き場所だ。しかし、やむにやまれぬ事情で売り払われて、それからはるばる日本まで長旅をしてきた本たちだから、とてもぞんざいに扱うわけにはいかない。かくして、本に埋もれながら暮らしているのである。
                     



事務局からのお知らせや最近の動きなどをお伝えします

活動報告会の場所が決まりました
前号でお伝えしたように、2月に活動報告会を開催します。タイとグルジアの図書館プロジェクトについて、現地訪問調査の様子を交えながらご報告します。
日時・場所:2月23日(水)19:00〜21:00、早稲田奉仕園にて
(詳しい内容は次号でお知らせします)

くらしき作陽大学で創作絵本を紹介 くらしき作陽大学の附属図書館で11月に行われた、タイを紹介する展示「タイを知りたい!-マイペンライ-」で、当団体の支援するタイの子どもたちの創作絵本を紹介・販売していただきました。また、図書館プロジェクト支援のための募金活動もしてくださいました。ご協力に感謝いたします。

ボランティアさんの声
当団体の事務所で作業を手伝ってくださっているボランティアさんの声をご紹介します。 「子どもたちが作った色鮮やかな絵本にいつも新鮮な驚きをもらっています。これからも、タイの子どもたちがたくさんの絵本に触れ、知的好奇心を育てることができるよう、少しでもお手伝いができたらいいなと思います」(高橋李奈さん、大学4年生)  
ボランティアさんのご協力にスタッフ一同大変助けられています。ありがとうございます。

タイの子どもたちへ1000冊の本を送ろう
今年度のタイ図書館プロジェクトでは、拠点校11校に約1000冊の本を送り、読書推進活動を行う計画ですが、資金が不足し計画通りの実施が困難になっています。たくさんの子どもたちが、新しい本を心待ちにしています。芽生えはじめた子どもたちの読書への興味を途絶えさせないために、ご協力をお願いいたします。

寄付は1口1,000円から受け付けています(1,000円で約4冊の本を子どもたちに届けることができます)。

<お振込先> (次の2種類のいずれかへお願いします)
郵便振替口座 口座番号:00100-2-14174
口座名:ノマドインターナショナル
みずほ銀行 渋谷支店 普通3507509
口座名:特定非営利活動法人ノマドインターナショナル
※お名前、ご住所、図書館プロジェクトへの寄付である旨を明記してください。みずほ銀行にお振込みの場合は、E-mailかFAX、郵便にてお知らせください。

会員募集中!
私たちの活動は市民の皆さまからのご支援で成り立っています。ぜひあなたも会員になって、活動を支えてください。個人正会員は年会費6,000円(入会金2,000円)、賛助会員は年会費2,000円(入会金1,000円)です。

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編集後記

・1ヶ月ほど調査のために滞在したタイで、人々の温かさに感動をたくさんもらいました。少しでも紙面でお伝えできればと思います。(武津)
・今年一年、多くの方に支えられ、充実した活動ができました。ノマドが、そして個人的にも、更に成長すべく、来年も頑張ります。(田島)
・今年はノマドで新しいことに挑戦し始めた年でした。来年はこの経験を活かしていけたらと思います。よいお年をお迎えください。(伊藤)

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